ブレインサイエンス・レビュー 2020
はじめに
公益財団法人ブレインサイエンス振興財団理事長
学士院会員、東京大学医学系研究科特任教授 廣川 信隆 3


序章 生命科学と生物倫理
公益財団法人ブレインサイエンス振興財団常務理事
新潟大学名誉教授 板東 武彦 13


光学的手法による脳内情報処理基盤の解明
自然科学研究機構生理学研究所・生体恒常性発達研究部門 揚妻 正和 25
はじめに
1. 恐怖記憶に関する神経回路
2. 光を使わない回路研究:遺伝学的手法による恐怖反応選択メカニズムの解明
3. 大脳皮質局所回路における情報処理
4. 光学的手法を用いた大脳皮質局所回路での情報処理機構の解明
5. 恐怖記憶に関する大脳皮質内側前頭前野の役割の解明に向けて:光学的手法と機械学習などの数理学的なアプローチを組み合わせる
6. 今後の展望


接近回避葛藤下の意思決定を制御する前帯状皮質−ストリオソーム回路
京都大学 白眉センター・霊長類研究所 雨森 賢一 47
はじめに
1. 前帯状皮質と葛藤下の意思決定
2. 前帯状皮質膝前部pACCと不安の生成
3. pACC-ストリオソーム回路と不安の生成
4. pACCと線条体の機能の違い
5. ストリオソームの機能
6. 線条体コンパートメントとモジュール型強化学習
おわりに


強化学習とドーパミンの多様性
1. ハーバード大学 分子生物学部、2. 大阪市立大学 医学部 神経生理学分野
松本 英之1, 2、内田 光子1、内田 直滋1 77
はじめに
1. ドーパミンニューロンにおける報酬予測誤差信号
1-1 ドーパミンニューロンと報酬予測誤差
1-2 ドーパミン予測誤差の計算
1-3 ドーパミン予測誤差信号の機能
2. 複雑なドーパミン信号
3. 多様なドーパミンシステムの存在について
3-1 ドーパミンシステムの多様性:神経結合パターン
3-2 ドーパミンシステムの多様性:活動
3-3 ドーパミンシステムの多様性:機能
4. 異なる結果から学習するアルゴリズム
5. 今後の展望


多感覚統合のdivisive normalizationモデル
東北大学大学院医学系研究科 生体システム生理学分野 大城 朝一 103
はじめに
1. divisive normalization
2. 多感覚統合のnormalizationモデル
3. モデルは多感覚統合現象の多くを再現する
4. マカクザルMSTd領域における多感覚統合
5. MST領域の多感覚統合モデル
6. MST領域からの記録
7. MST領域における単一感覚ニューロン
8. divisive normalizationメカニズムの実装
まとめ


休止期神経幹細胞の再活性化機構
京都大学大学院生命科学研究科システム機能学 准教授 菅田 浩司 127
はじめに
1. 成体で神経が新たに生み出されることの意義
2. 成体神経新生を担う神経幹細胞
3. モデル生物を用いた研究
4. ショウジョウバエにおけるNBの再活性化
5. 神経幹細胞の活性を制御する脳内微小環境
6. 結 語


神経膠腫が大脳皮質に及ぼす機能的・構造的影響
昭和大学医学部内科学講座脳神経内科学部門 講師 金野 竜太 145
はじめに
1. Wernicke-Geschwind model
2. 音声処理の脳内メカニズム
3. 統辞処理における左前頭葉優位性
4. 左前頭葉の神経膠腫による統辞処理障害
5. 神経膠腫患者における統辞処理時の脳活動
6. 統辞処理に関与する3つの脳内ネットワーク
7. 統辞処理と小脳
8. 統辞処理の脳内ネットワークにおける機能結合の変化と統辞処理障害の関係
9. 大脳皮質構造と認知機能の関係と今後の展望


剥離手法を応用した生体埋植蛍光イメージセンサの高感度化
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質科学領域 笹川 清隆 169
はじめに
1. 生体埋植CMOSイメージセンサ
2. 超小型蛍光励起光源
2-1 剥離による超薄型化
2-2 励起フィルタの統合による波長制限
2-3 小型光源搭載イメージセンサ
3. レンズレス系用励起光除去フィルタ
3-1 干渉フィルタ
3-2 吸収フィルタ
3-3 ハイブリッドフィルタ
3-4 生体埋植イメージセンサへハイブリッドフィルタの搭載
まとめ


高次脳機能の概日変化とその分子メカニズム
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 清水 貴美子 189
はじめに
1. 記憶形成能の概日変化
1-1 種を超えて存在する記憶形成能の概日変化
1-2 齧歯類の記憶形成能と概日変化
2. 不安様行動の概日変化
2-1 高架十字迷路試験とオープンフィールド試験
2-2 不安様行動の概日時計制御とそのメカニズム


アストロサイトの神経細胞保護機構
新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生化学分野 照沼 美穂 213
はじめに
1. アストロサイトの特徴的な形態
2. アストロサイトの神経細胞保護作用
2-1 神経伝達物質の取り込みとリサイクリング
2-2 シナプスの調節
2-3 カリウムイオンの緩衝作用
2-4 抗酸化物質の遊離
2-5 サイトカインや成長因子の合成と遊離
2-6 栄養源の供給
2-7 ミトコンドリアの供給
2-8 成体脳の神経新生
3. 病的脳に見られるアストロサイトの防御機構や機能変化
3-1 脳梗塞
3-2 肝性脳症
おわりに


神経変性疾患の患者脳に蓄積するタンパク質凝集体のプリオン様性質
東京都医学総合研究所・認知症プロジェクト 野中 隆 233
はじめに
1. 患者脳における細胞内凝集体の規則的な拡がり
2. αシヌクレインの細胞間伝播
3. タウの細胞間伝播
4. TDP-43の細胞間伝播
おわりに


海馬長期増強の分子機構:CaMK兇凌卦調節機構
京都大学大学院医学研究科 林 康紀 245
1. 研究の歩み
2. AMPA型グルタミン酸受容体のトラッフィッキング
3. シナプス後部分子のシナプス移行
4. アクチンリモデリング、シナプス構造可塑性、シナプスタグ
5. CaMK兇砲茲覦豌畧のCa2+シグナルから長期的情報伝達への変換
6. CaMK-Tiam1相互作用はシグナルカスケード上の特異点か?
7. CaMK兇旅渋っ素鮗舛箸靴討竜’
8. CaMK兇砲茲Ca2+依存性シナプス蛋白質のクロスリンキング
おわりに


新規睡眠制御分子同定による睡眠覚醒機構の解明を目指して
東邦大学医学部解剖学講座 教授
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 教授(WPI-IIIS) 船戸 弘正 269
はじめに
1. リバース・ジェネティクス研究とフォワード・ジェネティクス研究
2. マウスを用いた睡眠のフォワード・ジェネティクス研究
3. ノンレム睡眠量を規定するSik3遺伝子の同定
4. 睡眠負債(必要量)を規定するリン酸化蛋白質群の同定
5. レム睡眠制御に関与するNalcn遺伝子の同定
おわりに


大脳皮質単位回路とその計算モデル
研究開発法人 理化学研究所 脳神経科学研究センター
現・株式会社リコー 創薬事業室・バイオメディカル研究室 細谷 俊彦 289
1. 大脳皮質に単位回路はあるか
2. マイクロカラムの構造・神経活動・発生
2-1 繰り返し構造の探索
2-2 第5層はマイクロカラムが繰り返した構造を持つ
2-3 マイクロカラムの単位的な神経活動と神経回路
2-4 マイクロカラムの形成過程
3. マイクロカラムの計算モデル
3-1 第1次視覚野のカラム構造はフーリエ分解に似ている
3-2 フーリエ分解は画像の平行移動の処理に適している
3-3 フーリエ分解の一般化により多様な変換に対応できる
3-4 さまざまな皮質領野の共通モデルとしての一般化フーリエ変換
4. まとめ


霊長類脳のin vivo 2光子カルシウムイメージング
理化学研究所 脳神経科学研究センター 脳機能動態学連携研究チーム 正水 芳人 321
はじめに
1. 麻酔下のコモンマーモセット脳のin vivoカルシウムイメージング
1-1 カルシウムイメージング
1-2 テトラサイクリン発現誘導システム 
1-3 アデノ随伴ウイルス
1-4 観察用ガラス窓
1-5 手術方法 
1-6 大脳新皮質・体性感覚野でのin vivoカルシウムイメージング
2. 課題実行時のコモンマーモセット脳のin vivoカルシウムイメージング
2-1 頭部固定状態前におこなう訓練方法
2-2 大脳新皮質・運動野でのin vivoカルシウムイメージング
2-3 回転筐体型2光子励起顕微鏡
3. コモンマーモセットの体調管理
おわりに