ブレインサイエンス・レビュー2016
目 次



はじめに
(公財)ブレインサイエンス振興財団 理事長 廣川 信隆 3


うつ病における手綱核過剰活性化の役割
広島大学 医歯薬保健学研究院(医) 神経生物学 相澤 秀紀 15

はじめに
1. 脳内モノアミン代謝を制御する手綱核神経回路
2. うつ病における手綱核の異常活動
3. 手綱核神経回路による睡眠の制御
4. 外側手綱核における神経細胞の興奮性とグルタミン酸代謝
5. グリア細胞におけるグルタミン酸輸送体の欠損は手綱核の過剰活性化を引き起こす
6. 手綱核の活動性上昇がモノアミン産生細胞に与える影響
7. 手綱核が過剰活性化した動物はうつ病様行動異常を示す
8. 手綱核の過剰活性化はレム睡眠を脱抑制させる
9. 今後の研究への展望
おわりに


神経突起発達におけるセプチン細胞骨格の役割
名古屋大学理学部生命理学専攻細胞制御学グループ 上田(石原) 奈津実 31

はじめに
1. 神経突起伸展におけるセプチンの関与
2. セプチンは微小管のアセチル化と安定性を制御する
3. セプチンと脱アセチル化酵素HDAC6は相互作用する
4. SEPT7はHDAC6とアセチル化α-チューブリンとの結合を促進する
5. HDAC6阻害により神経突起伸展は抑制される
6. 今後の展望

神経活動依存的な神経回路形成
埼玉医科大学医学部生理学 伊丹 千晶 49

はじめに
1. 体性感覚野の可塑性メカニズム
1-1 齧歯類のバレル構造
1-2 バレル皮質の可塑性
1-3 スパイクタイミング依存性可塑性とは?
1-4 ヒゲ除去に伴う受容野変化のメカニズム
1-5 発火順序制御メカニズム
2. 生後発達に伴うSTDPのスイッチ
3. LTP-STDPのもとではヒゲ入力を遮断しても
諺-/形悗離轡淵廛硬礎は抑圧されない
4. t-LTPは諺-/形悗硫麩形成に最適なメカニズムか?
おわりに


新規ALS関連分子による分子病態の解明
慶應義塾大学医学部神経内科 伊東 大介 73

はじめに
1. OPNL+/UBQLN2+ vesicleの細胞生物学的意義の検討
1-1 背 景
1-2 結 果
1-3 結 語
2. ALS/FTLD関連遺伝子C9orf72遺伝子非翻訳領域6塩基反復配列異常伸長より生じる
ジペプチドリピートプロテインの細胞毒性解析
2-1 背 景
2-2 結 果
   1)DRPと封入体形成
   2)DRPとたんぱく質分解機構
   3)DRPによる細胞毒性
2-3 結 論
3. 今後の展望


カルシウムチャネルの新たな薬理学的制御をめざして
名古屋市立大学大学院医学研究科 稲垣 彰 93

はじめに
1. カルシウムチャネルの機能
2. カルシウムチャネルの構造
2-1 α1サブユニット
2-2 βサブユニット
2-3 α2δ
3. カルシウムチャネルの薬理
4. 神経特異的なカルシウムチャネル制御の新たな展開
おわりに


ニューロン固有の受容領域を規定する分子細胞基盤
東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻脳機能学研究分野 榎本 和生 113

はじめに
1. 感覚ニューロン受容領域の組織化
2. ショウジョウバエ感覚ニューロン受容領域の組織化
2-1 突起間に生じる反発運動を介する自己組織化
2-2 突起間相互作用に依存しない組織化機構
3. ショウジョウバエ変態期における樹状突起リモデリング
4. 不要樹状突起の選択的除去メカニズム
4-1 局所性カルシウムシグナルによる時空間制御
4-2 局所性エンドサイトーシスが樹状突起の区画化を誘導する
おわりに


神経特異的前初期遺伝子Arcによるシナプス機能調節機構
京都大学大学院医学研究科・メディカルイノベーションセンター 奥野 浩行 125

はじめに
1. 長期シナプス可塑性と活動依存的遺伝子発現
2. 神経特異的前初期遺伝子Arc
2-1 Arcとシナプス可塑性
2-2 Arcと長期記憶形成
3. シナプス活動依存的なArcの発現とその制御機構
4. Arcのシナプス局在制御
5. 不活性化シナプスに集積したArcによるグルタミン酸受容体制御
6. 可塑性誘導刺激後のArcの樹状突起動態
7. Arcタンパク質による逆シナプスタギング
おわりに


オレキシンニューロン選択的変性機序の解明
熊本大学大学院生命科学研究部薬物活性学分野 香月 博志 149

はじめに
1. ナルコレプシーとオレキシン
2. オレキシンニューロンの興奮毒性に対する感受性
3. 神経活動とオレキシンニューロンの機能維持
4. 小胞体ストレスに対するオレキシンニューロンの脆弱性
5. 一酸化窒素(NO)によるオレキシンニューロンの選択的変性
6. 断眠負荷時のNO依存的オレキシンニューロン変性
7. 高脂肪食負荷時のNO依存的オレキシンニューロン変性
おわりに


双極性障害の神経生物学的研究基盤の探索
国立研究開発法人理化学研究所脳科学総合研究センター 加藤 忠史 173

はじめに
1. ミトコンドリア機能障害
1-1 磁気共鳴スペクトロスコピー
1-2 ミトコンドリアDNA欠失と気分障害
1-3 ミトコンドリア病と気分障害
1-4 その他のミトコンドリア機能障害を示唆する所見
1-5 カルシウムとミトコンドリア
1-6 双極性障害の遺伝的モデルマウス
1-7 生理学的解析
1-8 分子脳病態の探索
1-9 創薬研究
1-10 今後の課題
2. 新たなゲノム研究の方向性
2-1 新たなゲノム要因
2-2 デノボ変異の関与
2-3 体細胞変異
2-4 レトロトランスポゾンLINE-1
2-5 一卵性双生児におけるエピゲノム差異
2-6 脳のメチル化
おわりに


ニューロンの移動と反応性アストロサイト
名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野 金子 奈穂子 195

はじめに
1. 成体脳における新生ニューロンの移動
1-1 成体脳のニューロン新生
1-2 成体脳に特徴的な新生ニューロンの移動形態
1-3 新生ニューロンによるアストロサイトのトンネルの維持
1-4 Slit-Roboシグナルを介する新生ニューロン−アストロサイトの相互作用
2.傷害後の新生ニューロンの移動
2-1 ニューロンの再生における脳室下帯の役割
2-2 脳梗塞後の新生ニューロンの移動
2-3 脳梗塞後のニューロン再生におけるSlit-Roboシグナルの役割
2-4 Slit-Roboシグナルを応用したニューロン再生促進法の検討
3. 考察・展望


神経発生における遺伝子発現パターンの制御メカニズム
東京大学大学院薬学系研究科分子生物学教室 岸 雄介 213

はじめに
1. 大脳新皮質発生の概要
2. クロマチン構造変化によるグローバルな遺伝子転写制御
2-1 神経幹細胞におけるグローバルなクロマチン構造の変化
2-2 ニューロン分化過程におけるグローバルなクロマチン構造の変化
3. ゲノム構造によるグローバルな遺伝子発現制御
3-1 繰り返し配列による遺伝子発現制御
3-2 遺伝子長による遺伝子発現制御
4. スプライシング制御によるグローバルな遺伝子発現制御
5. 翻訳制御によるグローバルな遺伝子発現制御
おわりに

記憶や情動が経験に依存して変化する分子メカニズムの解析
大阪大学大学院医学系研究科 神経細胞生物学講座 近藤 誠 237

はじめに
1. 恐怖記憶を制御する分子機構
1-1 マウスの恐怖条件付け試験
1-2 恐怖記憶の獲得・保持と5-HT3受容体
1-3 恐怖記憶の消去と5-HT3受容体
1-4 恐怖記憶の消去の分子メカニズム
1-5 PTSDと5-HT3受容体
2. 運動が引き起こす情動や記憶機能の変化
2-1 経験依存的に変化する記憶や情動
2-2 運動がもたらす脳の形態変化や動物の行動変化のメカニズム
2-3 運動による海馬の神経新生の増加と5-HT3受容体
2-4 運動による抗うつ効果や記憶学習能力の向上効果と5-HT3受容体
2-5 運動によって起こる脳の可塑的変化の分子メカニズム
2-6 うつ病と5-HT3受容体


脳内で新生するニューロンと、中枢神経再生への応用
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 坂口 昌徳 263

はじめに
1. 脳の再生医学の現状−パーキンソン病治療を例に
2. ヒト脳がもつ内在性のニューロン新生メカニズム
3. 成体で新生したニューロンの機能を扱った研究
4. 成体で新生したニューロンは記憶回路形成に必須の役割りを果たす
5. 記憶と睡眠
6. 筆者らの最近の研究
7. 今 後


視交叉上核ニューロンの概日振動を調節するGz共役型オーファン受容体の同定
京都大学大学院薬学研究科医薬創成情報科学講座 土居 雅夫 281

はじめに
1. 哺乳類の概日時計システム:視交叉上核SCNを頂点とする階層的構造
2. 生体リズム異常と疾患に関する研究の動向
3. 生体リズム調整能を有するSCN局在型オーファンGPCRの同定
4. Gpr176は概日時計にコントロールされるSCN局在型オーファン受容体である
5. Gpr176は中枢時計において中心的役割を担うVip受容体と共在する
6. Gpr176はVip-Vipr2-Gs-cAMP経路に対して抑制的に作用する
7. Gpr176はアゴニスト非依存的な基礎活性によってcAMP産生を抑制する
8. GzがGpr176の活性を仲介する
9. まとめとモデル
おわりに:生体リズム調整に向けた創薬の可能性


無意識的言語認知における処理深度とその脳内機構
京都大学大学院医学研究科附属脳機能総合研究センター 中村 仁洋 299

はじめに
1. 視覚マスキングと無意識的言語処理
2. 無意識言語情報における音韻処理
3. サブリミナル刺激の意味理解
4. 文字の運動知識の自動的活動
5. サブリミナル文の認知における脳活動
まとめと今後の課題


興奮性シナプス制御の1分子イメージング
国立精神・神経医療研究センター神経研究所 林  崇 317

はじめに
1. 哺乳類脳神経系におけるグルタミン酸作動性の興奮性シナプス
1-1 イオンチャネル型グルタミン酸受容体
1-2 グルタミン酸受容体のタンパク質翻訳後修飾による制御
1-3 パルミトイル化によるシナプスの制御
1-4 パルミトイル化部位の進化上の保存性
2. 興奮性シナプスの異常から誘発される精神疾患の分子発症機構
2-1 グルタミン酸受容体のシナプス発現異常がかかわる精神疾患
2-2 シナプスでの翻訳後修飾にかかわる精神疾患原因遺伝子
3. 興奮性シナプスで機能するタンパク質の1分子イメージング
3-1 pH感受性改変GFPタグを用いた膜タンパク質の細胞表面発現の可視化
3-2 グルタミン酸受容体を構成する各サブユニット動態の1分子イメージング
3-3 精神疾患原因遺伝子による興奮性シナプス制御の研究への応用
4. 1分子イメージング技法の今後の展開