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古代集落の構造と変遷5
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| 奈良文化財研究所では、1996年から古代官衙と集落に関する研究集会を継続して実施してきました。この研究集会は、律令国家に関連する様々な遺跡(遺構・遺物)を対象として毎年一つのテーマを設定し、全国の官衙や古代集落に関心のある考古学・文献史学・建築史学・歴史地理学など諸分野の研究者の方々が一堂に会し、学際的な観点から活発な議論を交わす場となっています。 2020年度からは「古代集落を考える」と題するシリーズを立ち上げ、古代集落遺跡の検討から律令国家における在地社会の実像を明らかにすることを目的として、集中的に議論を重ねてきました。シリーズ5回目となる昨年度の第28回研究集会では、建物遺構に対する定量的な分析手法の再検討や地域に即して集落遺跡や建物群の実態を見直す報告がおこなわれ、史料にみられる古代集落と集落遺跡を繋ぐ新たな視点が提示されました。そして、これまでの研究集会の報告者の方々を交えた総合討議では、各地域の集落遺跡の様相をふまえた古代集落の基本構造モデルの構築を目指して真剣な議論が交わされました。 この度、その成果をまとめた研究報告が完成し、皆さまにお届けできる運びとなりました。本書の執筆に当たられました報告者の方々をはじめ、これまでの研究集会に参加された皆さまに深く感謝申し上げるとともに、本書が広く活用され、今後の新たな調査や研究の展開とその成果の公開・活用に繋がることを期待いたします。今後とも、古代官衙・集落研究会の活動に対して、皆様のご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 2025年12月 独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所長 本中 眞 |